パルス中性子イメージングに関する研究

■加速器パルス中性子源

高エネルギーのパルス電子ビームやパルス陽子ビームを利用して、光中性子や核破砕中性子を発生させる加速器パルス中性子源に関する研究を行っています。 また、中性子科学では、発生した中性子のエネルギーを低くして利用することが多いため、中性子減速材の開発も行っています。

1973年に完成された北海道大学45MeV電子線形加速器施設(北大LINAC)は、2タイプの加速器パルス中性子源が設置されている世界的にも非常にユニークな中性子実験施設であり、「Hokkaido LINAC」と呼ばれ世界的にも有名です。

■■ 北海道大学45MeV電子線形加速器(北大LINAC) ■■

量子ビームシステム工学研究室は、この施設のパルス冷中性子源やパルス熱中性子源を利用した実験やコンピューターシミュレーションを用いて、様々な研究を進めています。

これまでの研究によって、世界一効率の良いパルス冷中性子源の開発にも成功し、日本のKEKやJ-PARC、米国SNSの核破砕パルス中性子源として採用された実績があります。

現在も北大LINACにおいて、JAEAやKEKと精力的に共同研究を行っています。なお、北大LINACのように、多種多様な中性子実験を行うことができる自由度の高い比較的小規模な実験施設は、現在の所「Hokkaido LINAC」と米国インディアナ大学の「LENS」のみであり、次世代における中性子科学拠点の目指すべき姿として、国際原子力機関(IAEA)にも認められています。

■中性子デバイス

北大LINACにおいて、六極パルス磁気レンズや回転楕円体スーパーミラーなどの最新鋭の中性子光学素子に関する研究を行っています。 六極パルス磁気レンズは、世界初のパルス中性子ビーム集光装置を目指して、北大・JAEA・KEK・理化学研究所(理研)が共同で研究を行っています。 回転楕円体スーパーミラーは、世界一小さい中性子顕微鏡を目指した「小型集束型中性子小角散乱装置(mf-SANS)」に採用されます(量子ビーム応用計測学研究室との共同研究)。 どちらも次世代の中性子科学をリードする中性子光学素子であり、世界に先駆けた研究が進められています。

■■ 六極パルス磁気レンズ ■■

パルス中性子のエネルギー分析には「飛行時間(TOF:Time of Flight)法」と呼ばれる方式が用いられることが多いのですが、このTOF法による中性子のエネルギー分析を行いながら、中性子の2次元イメージを撮影する検出器の開発も行われています。 この研究もKEKや理研との共同研究です。なぜ中性子のエネルギーを分析するのかと言いますと、中性子を利用して物質の情報を調べるためには、その中性子が物質内部の原子核に衝突した際にどのような空間変化(中性子ビームの進行方向の変化)を起こしたのかを調べることに加えて、時間変化(中性子ビームの速度の変化)も中性子検出器で同時に観測することによって、物質の空間構造・時間構造を直接的かつ詳細に調べることができるようになるためです。

■中性子マテリアル解析

北大LINACのパルス中性子源を利用して、パルス中性子イメージング(中性子透過分光撮影法や中性子共鳴吸収分光断層撮影法)などの新しいマテリアル研究法の開発を行っています。 この新しいパルス中性子の利用技術が世界中で利用される日を目指して、システムの提案・設計・開発を行っています。私達はJ-PARCで初めて供用実験を行った研究グループ(学生2人、教員1人)でもあり、北大以外の中性子源も精力的に利用して研究を進めています。

北海道大学にはKEKとの連携講座である「中性子マテリアル解析講座」があり、「量子ビームシステム工学研究室」と共にマテリアル研究法の開発と物質研究を行っています。 また、国内外の中性子科学拠点や大型放射光施設SPring-8でも実験を行っています。

さらに、J-PARCのMLFに「中性子核反応測定装置」を建設しました。この装置は、革新的原子炉の設計や宇宙物理学において非常に重要な「原子核データ」を高精度測定するための世界最高性能を誇る装置です。

■■ J-PARC/MLF(2009年2月) ■■