2012年11月19日

【研究紹介】エゾシカと車両の衝突問題に関する研究

研究紹介 — 9:55 AM

(1)研究者のアピールポイント

北海道においてエゾシカの生息地域と個体数は急激に拡大している。エゾシカと車両との事故問題を少しでも予防することが重要であり、具体的かつ有効な衝突回避策を得るためエゾシカと車両との事故を詳細に分析した。

 

(2)本発表研究の概要

衝突時の被害が大きいことからエゾシカとの事故に北海道のドライバは高い関心を寄せている。エゾシカと車両の衝突回避支援を目的とし、衝突事故が発生しやすい条件をエゾシカの生態および道路の沿道環境から明らかにする。

 

(3)本研究発表の詳細

北海道の国道における野生動物と車両との衝突件数の増減について、時系列的・空間的な視点で分析を行うとともに、衝突件数の増減と生態との関連について明らかにした。通年で衝突件数が多い場所は、大規模なエゾシカの越冬地がある場所であった。一方、季節によって衝突件数が増減する箇所は、エゾシカの季節移動が主な原因となっていた。

GIS を用いた空間分析によって、エゾシカと車両との衝突件数が増加する道路周辺環境条件を明確にした。道路周辺環境として、積雪、標高、土地利用、河川との距離、交通量を説明変数としたポアソン回帰分析を行った。衝突件数の増加には、森林(針葉樹林、広葉樹林、カラマツ林)、草地、農地、開放水域の存在、河川からの距離が近いこと、積雪深の多さが影響することを示した。路線別の土地利用環境と衝突頻度区間の分析によって、森林割合が高い環境(森林内) と森林と農地の境界部では衝突が増加し、森林割合が低く農地割合が高くなると衝突件数は減少していた。エゾシカが好んで利用する環境が衝突件数を増加させていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(4)本発表の注目点

エゾシカの生態とそれに密接にかかわる沿道環境を結ぶことから、エゾシカとの衝突頻度が高い箇所を抽出できることを明らかとした。人間社会と生態との複合情報の生成が自然共生社会の実現に繋がる一例と言える。

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北海道大学 工学系連携推進部 renkei@eng.hokudai.ac.jp