2012年10月18日

【研究紹介】耐氷点下起動性に優れた固体高分子形燃料電池の開発 ~電池内マイクロナノ凍結現象の解明~

研究紹介 — 11:26 AM

大学院工学研究院エネルギー環境システム部門・准教授 田部 豊

 

(1)研究者のアピールポイント

多様なエネルギーシステムの持続可能なベストミックスを実現するための専門集団であるエネルギー環境システム部門の一員として,広い視野を持って,エネルギー問題,地球温暖化問題の解決を目指しています.

 

(2)本発表研究の概要

固体高分子形燃料電池の寒冷地利用において,反応により生成した水が凍結し性能低下を引き起こすことが問題となる.本研究では,マイクロナノスケールである反応層近傍の凍結現象について,超低温型電子顕微鏡による可視化や電気化学測定を用いて解明することにより,耐氷点下起動に優れた電池の開発を行っている.

 

(3)本研究発表の詳細

固体高分子形燃料電池は,次世代の自動車等の移動動力用電源,民生用の定置型分散電源他,多くの分野において,高効率でクリーンなエネルギー変換機器として普及が期待されている.この燃料電池の氷点下環境起動では,生成した水が凍結し,発電停止,劣化を引き起こすため,電池内の凍結現象を明らかにすることは,電池性能および耐久性向上のために極めて重要となる.

反応による生成水は,下の左図のように数十nmの径である触媒層空隙を通り,数μm径の空隙を有する多孔膜であるマイクロポーラスレイヤー(MPL)を介して,ガス拡散層・ガス供給チャネルへと排出される.この過程の超微細多孔体の中で,水がどの部位で凍結し,どのような機構で性能停止および経年劣化に繋がるかを微視的観察,電気化学測定,触媒層モデル解析により解明し,耐起動性の向上や超寿命化を達成することを目指している.下の中図は触媒層が氷で埋められている様子,右図は解析でモデル化している触媒層の構造模式図である.

 

 

 

 

(4)本発表の注目点

普段見ることのない超微細構造内の凍結現象をぜひご覧下さい.微視的観察,電気化学測定,触媒層モデル解析を駆使する極めて独創的な本試みは,札幌のような寒冷地での燃料電池の普及に役立つものと考えています.

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北海道大学 工学系連携推進部 renkei@eng.hokudai.ac.jp