2012年10月11日

【研究紹介】微分不可能ダイナミクスが導く新しい制御

研究紹介 — 5:00 PM

大学院情報科学研究科 システム情報科学専攻・教授 山下 裕

 

(1)研究者のアピールポイント

システム制御に関する理論・技術全般、特に非線形システムの制御理論の研究が専門。その他、インターネットなどの伝送遅れをループ内に含む制御や移動体の制御などさまざまな研究に従事。

(2)本発表研究の概要

近年、フィードバックに微分不可能な関数を含めることで、制御系の性能を向上させたり、制御系設計における困難さを克服したりすることが可能であることがわかってきた。ひとつは局所的な収束性能の向上であり、もうひとつは大域的な性質の改善である。本発表ではこれらについて、簡単に説明する。

(3)本研究発表の詳細

まず、微分不可能制御則の効用を、2つに分けて説明する。1つは局所的な収束性能の改善であり、原点で無限大のゲインを持つフィードバックによって、連続時間有限整定制御や厳密微分器が可能であることを示す。対象が線形システムの場合、数学的に美しい制御はやはり線形制御であるが、微分不可能制御則を用いたほうが人間にとって望ましい応答であることが多い。また、厳密微分器を用いれば、単なる差分よりノイズが少なく、またフィルタの遅れがない微分動作が可能であることが示される。もう一つは、制御対象の大域的な構造に起因する困難さを克服する手段としての微分不可能制御である。剛体の回転運動の制御や、移動ロボットの障害物回避問題においては、「どちらに回るのがよいのか?」という意思決定における分岐点が存在し、そこでは制御則は不連続にならざるを得ない。本研究室では、そのような問題に対しシステマティックに数式だけの世界でその不連続フィードバックを導く汎用的な方法を研究している。例題として移動ロボットのIF-THENルールを使わない障害物回避制御を示す(図)。

 

 

 

 

 

 

(4)本発表の注目点

今まで最善と思ってきた線形制御の指数的収束がはたして本当に望ましいのか?それに対する一つの提案を示す。また、大域的制御においてIF-THENルールやMAPを人間がいちいち作ることの批判と、大域的制御のシステマティックな構成に対する一つの数学的な回答を示す。

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北海道大学 工学系連携推進部 renkei@eng.hokudai.ac.jp