2012年11月28日

【研究紹介】コンピュータビジョンによる安全を監視する技術 ~地震からの生命安全性モニタリング~音声避難誘導システム

研究紹介 — 7:09 PM

大学院工学研究院

建築都市空間デザイン部門・教授 岡田 成幸

 

(1)研究者のアピールポイント

建築系の地震防災を研究テーマとし、自助・共助・公助の観点から広く提言を行っています。コンピュータを利用したモニタリング技術を建築防災の領域に応用し、自助の活性化を狙ったのが今回の発表です。この研究により、2011年地域安全学会論文賞を受賞しました。

 

(2)本発表研究の概要

情報化社会が進む中、[状態]の現状把握とそれに基づく将来予測は重要なキーワードであり、そのための情報をいかに早く正確に収集し加工し効果的に利用していくかの技術が求められています。建築防災にとっての[状態]とは、地震時の建物の振動特性であり、室内の散乱状況であり、その中での人間行動です。地震計とCCDカメラにより状態をモニタリングし危険が迫っていたらどうすべきかの意思決定情報をリアルタイムで流すシステムを紹介します。

 

(3)本研究発表の詳細

防災の最低要件は住人を死なせないこと、そして傷つけないことです。そのためにシステムは2つの情報を操作します。

建物は地震に依らずとも常時微小な振幅で振動しています。提案するシステムは、その揺れを高感度地震計でモニタリングし建物固有の特性値を同定することにより、地震による被害状態や住人の生命安全性を判断します。さらに室内に取り付けたCCDカメラが室内環境や住人行動をモニタリングし続けており、地震発生時に同報される緊急地震速報の情報を併用して地震襲来時の危険性を判断し、住人を安全な場所へと音声にて誘導します。

(4)本発表の注目点

東日本大震災でも緊急地震速報は極めて有効であったとの報告がありました。一歩先読みの情報が人命を救います。システムは未だ試行錯誤的な部分も残されていますが、防災の未来を感じて頂ければ幸いです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

地図:地域防災力向上へと拡張するシステムの全体像

 

2012年11月19日

【研究紹介】エゾシカと車両の衝突問題に関する研究

研究紹介 — 9:55 AM

(1)研究者のアピールポイント

北海道においてエゾシカの生息地域と個体数は急激に拡大している。エゾシカと車両との事故問題を少しでも予防することが重要であり、具体的かつ有効な衝突回避策を得るためエゾシカと車両との事故を詳細に分析した。

 

(2)本発表研究の概要

衝突時の被害が大きいことからエゾシカとの事故に北海道のドライバは高い関心を寄せている。エゾシカと車両の衝突回避支援を目的とし、衝突事故が発生しやすい条件をエゾシカの生態および道路の沿道環境から明らかにする。

 

(3)本研究発表の詳細

北海道の国道における野生動物と車両との衝突件数の増減について、時系列的・空間的な視点で分析を行うとともに、衝突件数の増減と生態との関連について明らかにした。通年で衝突件数が多い場所は、大規模なエゾシカの越冬地がある場所であった。一方、季節によって衝突件数が増減する箇所は、エゾシカの季節移動が主な原因となっていた。

GIS を用いた空間分析によって、エゾシカと車両との衝突件数が増加する道路周辺環境条件を明確にした。道路周辺環境として、積雪、標高、土地利用、河川との距離、交通量を説明変数としたポアソン回帰分析を行った。衝突件数の増加には、森林(針葉樹林、広葉樹林、カラマツ林)、草地、農地、開放水域の存在、河川からの距離が近いこと、積雪深の多さが影響することを示した。路線別の土地利用環境と衝突頻度区間の分析によって、森林割合が高い環境(森林内) と森林と農地の境界部では衝突が増加し、森林割合が低く農地割合が高くなると衝突件数は減少していた。エゾシカが好んで利用する環境が衝突件数を増加させていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(4)本発表の注目点

エゾシカの生態とそれに密接にかかわる沿道環境を結ぶことから、エゾシカとの衝突頻度が高い箇所を抽出できることを明らかとした。人間社会と生態との複合情報の生成が自然共生社会の実現に繋がる一例と言える。

2012年11月1日

【研究紹介】河床・河道変動の数値シミュレーション技術 ~日米共同による河川シミュレーションソフトの共同開発~

研究紹介 — 12:00 PM

(1)研究者のアピールポイント

本日は私共が現在取り組んでいる日米共同研究による、河川の流れや氾濫、河床・河岸の変動をシミュレーションするためのフリーソフト、iRIC(http://i-ric.org)について、その開発経緯、現況、能力、将来について紹介致します。

 

(2)本発表研究の概要

iRICは専門家でなくても簡単に使えるように工夫されており、測量データやGISデータから計算用のグリッドデータの作成から、計算条件の設定と実行、美しくて迫力あるアニメーション出力などに工夫が凝らされており、その機能と操作方法の説明をします。

iRICを用いた世界中の河川の洪水、氾濫、蛇行などのシミュレーション結果を紹介します。

 

(3)本研究発表の詳細

 

 

 

 

 

 

 

(図-1)  DEMデータから計算用の格子を作成するGUI画面例

 

 

 

 

 

 

 

(図-2) サモア国アピア市の氾濫計算例

 

 

 

 

 

 

(図-3) 豊平川の河道内樹木を含む流れ

 

 

 

 

 

(図-4) ロシア・オビ河の自由蛇行と自然短絡

(4)本発表の注目点

本ソフトは今まではごく少数の研究者にしか出来なかった最先端の河川工学を背景とした高度な計算を、誰もが簡単に無料で出来るようにしたものです。アジア、ヨーロッパ各地でもユーザーが増えつつあり、今後の発展が期待されます。

北海道大学 工学系連携推進部 renkei@eng.hokudai.ac.jp