2012年12月26日

北海道大学工学系シーズ集Vol.10

北海道大学工学系イノベーションフォーラム2012にて配布させていただきました。

北海道大学工学系シーズ集Vol.10を掲載いたします。

ご興味のある方、ご一読ください。

 

北海道大学工学系シーズ集Vol.10

2012年11月28日

【研究紹介】コンピュータビジョンによる安全を監視する技術 ~地震からの生命安全性モニタリング~音声避難誘導システム

研究紹介 — 7:09 PM

大学院工学研究院

建築都市空間デザイン部門・教授 岡田 成幸

 

(1)研究者のアピールポイント

建築系の地震防災を研究テーマとし、自助・共助・公助の観点から広く提言を行っています。コンピュータを利用したモニタリング技術を建築防災の領域に応用し、自助の活性化を狙ったのが今回の発表です。この研究により、2011年地域安全学会論文賞を受賞しました。

 

(2)本発表研究の概要

情報化社会が進む中、[状態]の現状把握とそれに基づく将来予測は重要なキーワードであり、そのための情報をいかに早く正確に収集し加工し効果的に利用していくかの技術が求められています。建築防災にとっての[状態]とは、地震時の建物の振動特性であり、室内の散乱状況であり、その中での人間行動です。地震計とCCDカメラにより状態をモニタリングし危険が迫っていたらどうすべきかの意思決定情報をリアルタイムで流すシステムを紹介します。

 

(3)本研究発表の詳細

防災の最低要件は住人を死なせないこと、そして傷つけないことです。そのためにシステムは2つの情報を操作します。

建物は地震に依らずとも常時微小な振幅で振動しています。提案するシステムは、その揺れを高感度地震計でモニタリングし建物固有の特性値を同定することにより、地震による被害状態や住人の生命安全性を判断します。さらに室内に取り付けたCCDカメラが室内環境や住人行動をモニタリングし続けており、地震発生時に同報される緊急地震速報の情報を併用して地震襲来時の危険性を判断し、住人を安全な場所へと音声にて誘導します。

(4)本発表の注目点

東日本大震災でも緊急地震速報は極めて有効であったとの報告がありました。一歩先読みの情報が人命を救います。システムは未だ試行錯誤的な部分も残されていますが、防災の未来を感じて頂ければ幸いです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

地図:地域防災力向上へと拡張するシステムの全体像

 

2012年11月19日

【研究紹介】エゾシカと車両の衝突問題に関する研究

研究紹介 — 9:55 AM

(1)研究者のアピールポイント

北海道においてエゾシカの生息地域と個体数は急激に拡大している。エゾシカと車両との事故問題を少しでも予防することが重要であり、具体的かつ有効な衝突回避策を得るためエゾシカと車両との事故を詳細に分析した。

 

(2)本発表研究の概要

衝突時の被害が大きいことからエゾシカとの事故に北海道のドライバは高い関心を寄せている。エゾシカと車両の衝突回避支援を目的とし、衝突事故が発生しやすい条件をエゾシカの生態および道路の沿道環境から明らかにする。

 

(3)本研究発表の詳細

北海道の国道における野生動物と車両との衝突件数の増減について、時系列的・空間的な視点で分析を行うとともに、衝突件数の増減と生態との関連について明らかにした。通年で衝突件数が多い場所は、大規模なエゾシカの越冬地がある場所であった。一方、季節によって衝突件数が増減する箇所は、エゾシカの季節移動が主な原因となっていた。

GIS を用いた空間分析によって、エゾシカと車両との衝突件数が増加する道路周辺環境条件を明確にした。道路周辺環境として、積雪、標高、土地利用、河川との距離、交通量を説明変数としたポアソン回帰分析を行った。衝突件数の増加には、森林(針葉樹林、広葉樹林、カラマツ林)、草地、農地、開放水域の存在、河川からの距離が近いこと、積雪深の多さが影響することを示した。路線別の土地利用環境と衝突頻度区間の分析によって、森林割合が高い環境(森林内) と森林と農地の境界部では衝突が増加し、森林割合が低く農地割合が高くなると衝突件数は減少していた。エゾシカが好んで利用する環境が衝突件数を増加させていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(4)本発表の注目点

エゾシカの生態とそれに密接にかかわる沿道環境を結ぶことから、エゾシカとの衝突頻度が高い箇所を抽出できることを明らかとした。人間社会と生態との複合情報の生成が自然共生社会の実現に繋がる一例と言える。

2012年11月1日

【研究紹介】河床・河道変動の数値シミュレーション技術 ~日米共同による河川シミュレーションソフトの共同開発~

研究紹介 — 12:00 PM

(1)研究者のアピールポイント

本日は私共が現在取り組んでいる日米共同研究による、河川の流れや氾濫、河床・河岸の変動をシミュレーションするためのフリーソフト、iRIC(http://i-ric.org)について、その開発経緯、現況、能力、将来について紹介致します。

 

(2)本発表研究の概要

iRICは専門家でなくても簡単に使えるように工夫されており、測量データやGISデータから計算用のグリッドデータの作成から、計算条件の設定と実行、美しくて迫力あるアニメーション出力などに工夫が凝らされており、その機能と操作方法の説明をします。

iRICを用いた世界中の河川の洪水、氾濫、蛇行などのシミュレーション結果を紹介します。

 

(3)本研究発表の詳細

 

 

 

 

 

 

 

(図-1)  DEMデータから計算用の格子を作成するGUI画面例

 

 

 

 

 

 

 

(図-2) サモア国アピア市の氾濫計算例

 

 

 

 

 

 

(図-3) 豊平川の河道内樹木を含む流れ

 

 

 

 

 

(図-4) ロシア・オビ河の自由蛇行と自然短絡

(4)本発表の注目点

本ソフトは今まではごく少数の研究者にしか出来なかった最先端の河川工学を背景とした高度な計算を、誰もが簡単に無料で出来るようにしたものです。アジア、ヨーロッパ各地でもユーザーが増えつつあり、今後の発展が期待されます。

2012年10月25日

【研究紹介】土壌中の環境放射性核種 ~ラドンを知る~

研究紹介 — 3:27 PM

大学院工学研究院量子理工学部門・准教授 藤吉 亮子

(1)研究者のアピールポイント

研究室のスタッフ、学生はじめ周りの多くの人達に支えられ現在の自分がある。人間は一人では生きてゆけないと実感している。研究は生活の重要な部分を占め、それはまだ続くと思う。自然に感激する心を忘れないこと。

 

(2)本発表研究の概要

身の回りに存在する多くの放射性核種(環境放射性核種)のうち、常温常圧で気体(放射性気体)であるラドンについてその正体を明らかにするとともに、人間とのいろいろな関わり(良い面と悪い面)を紹介する。地表面下で発生して移動するラドンを追跡するとどのようなことが明らかになるか最近の研究結果をもとに解説する。

 

(3)本研究発表の詳細

喫煙に次いで高い肺ガンの要因として、ラドンは欧米諸国において最も注目されている放射性核種である。ラドンによる健康被害を低減するため、EU諸国では国ごとに独自にラドン放射能濃度を測定し、その結果をマッピングする努力がなされてきた。しかし、測定法や測定対象(屋内なのか土壌なのか等)は国の事情により大きく異なる。最近、EC (European Commission) が中心となって統一的な測定手法の確立、測定およびマッピングに向けた動きが活発になっている。特に、チェコ共和国(地質調査所およびRadon EU) のラドン測定・評価技術はすぐれており、彼らは国内にラドンフィールドを設けて定期的に測定法および測定結果のクロスチェックを行っている。一方、日本、特に北海道においてラドンの測定はほとんど行われていない。また、ほとんど注目もされていない。人為的介入の比較的少ない森林(北海道、スロベニア)においてラドン(および他の土壌空気成分)のモニタリングを継続している(図1)。特に、冬季積雪期におけるラドンの挙動を明らかにして、北国における環境パラメータを確立することをめざす。

 

 

 

 

 

 

図1 森林土壌における222Rnおよび地温の継時変化

 

 

(4)本発表の注目点

ラドンは放射性気体であり、系列を作る天然放射性核種の壊変生成物である。半減期3.8日の222Rnは放射線被ばくという面で人間に有害な影響をもたらす半面、土壌空気の地表面への動きを知るための有用なパラメータとなる。

2012年10月18日

【研究紹介】耐氷点下起動性に優れた固体高分子形燃料電池の開発 ~電池内マイクロナノ凍結現象の解明~

研究紹介 — 11:26 AM

大学院工学研究院エネルギー環境システム部門・准教授 田部 豊

 

(1)研究者のアピールポイント

多様なエネルギーシステムの持続可能なベストミックスを実現するための専門集団であるエネルギー環境システム部門の一員として,広い視野を持って,エネルギー問題,地球温暖化問題の解決を目指しています.

 

(2)本発表研究の概要

固体高分子形燃料電池の寒冷地利用において,反応により生成した水が凍結し性能低下を引き起こすことが問題となる.本研究では,マイクロナノスケールである反応層近傍の凍結現象について,超低温型電子顕微鏡による可視化や電気化学測定を用いて解明することにより,耐氷点下起動に優れた電池の開発を行っている.

 

(3)本研究発表の詳細

固体高分子形燃料電池は,次世代の自動車等の移動動力用電源,民生用の定置型分散電源他,多くの分野において,高効率でクリーンなエネルギー変換機器として普及が期待されている.この燃料電池の氷点下環境起動では,生成した水が凍結し,発電停止,劣化を引き起こすため,電池内の凍結現象を明らかにすることは,電池性能および耐久性向上のために極めて重要となる.

反応による生成水は,下の左図のように数十nmの径である触媒層空隙を通り,数μm径の空隙を有する多孔膜であるマイクロポーラスレイヤー(MPL)を介して,ガス拡散層・ガス供給チャネルへと排出される.この過程の超微細多孔体の中で,水がどの部位で凍結し,どのような機構で性能停止および経年劣化に繋がるかを微視的観察,電気化学測定,触媒層モデル解析により解明し,耐起動性の向上や超寿命化を達成することを目指している.下の中図は触媒層が氷で埋められている様子,右図は解析でモデル化している触媒層の構造模式図である.

 

 

 

 

(4)本発表の注目点

普段見ることのない超微細構造内の凍結現象をぜひご覧下さい.微視的観察,電気化学測定,触媒層モデル解析を駆使する極めて独創的な本試みは,札幌のような寒冷地での燃料電池の普及に役立つものと考えています.

2012年10月11日

【研究紹介】微分不可能ダイナミクスが導く新しい制御

研究紹介 — 5:00 PM

大学院情報科学研究科 システム情報科学専攻・教授 山下 裕

 

(1)研究者のアピールポイント

システム制御に関する理論・技術全般、特に非線形システムの制御理論の研究が専門。その他、インターネットなどの伝送遅れをループ内に含む制御や移動体の制御などさまざまな研究に従事。

(2)本発表研究の概要

近年、フィードバックに微分不可能な関数を含めることで、制御系の性能を向上させたり、制御系設計における困難さを克服したりすることが可能であることがわかってきた。ひとつは局所的な収束性能の向上であり、もうひとつは大域的な性質の改善である。本発表ではこれらについて、簡単に説明する。

(3)本研究発表の詳細

まず、微分不可能制御則の効用を、2つに分けて説明する。1つは局所的な収束性能の改善であり、原点で無限大のゲインを持つフィードバックによって、連続時間有限整定制御や厳密微分器が可能であることを示す。対象が線形システムの場合、数学的に美しい制御はやはり線形制御であるが、微分不可能制御則を用いたほうが人間にとって望ましい応答であることが多い。また、厳密微分器を用いれば、単なる差分よりノイズが少なく、またフィルタの遅れがない微分動作が可能であることが示される。もう一つは、制御対象の大域的な構造に起因する困難さを克服する手段としての微分不可能制御である。剛体の回転運動の制御や、移動ロボットの障害物回避問題においては、「どちらに回るのがよいのか?」という意思決定における分岐点が存在し、そこでは制御則は不連続にならざるを得ない。本研究室では、そのような問題に対しシステマティックに数式だけの世界でその不連続フィードバックを導く汎用的な方法を研究している。例題として移動ロボットのIF-THENルールを使わない障害物回避制御を示す(図)。

 

 

 

 

 

 

(4)本発表の注目点

今まで最善と思ってきた線形制御の指数的収束がはたして本当に望ましいのか?それに対する一つの提案を示す。また、大域的制御においてIF-THENルールやMAPを人間がいちいち作ることの批判と、大域的制御のシステマティックな構成に対する一つの数学的な回答を示す。

2012年10月5日

【研究紹介】アンテナ信号処理技術を用いた無線通信システムの高度化 ~チャネル予測による下り回線マルチユーザMIMOシステムの特性改善~

研究紹介 — 5:33 PM

大学院情報科学研究科
メディアネットワーク専攻・教授 小川 恭孝

 

 

(1)研究者のアピールポイント

本研究者は,アンテナ信号処理技術の我が国におけるパイオニアである.本研究者は1980年代初めに,この技術の移動通信への応用に関する研究を開始し, PHSの空間分割多元接続の商用化に貢献した.

 

(2)本発表研究の概要

基地局が複数のユーザ端末と同時に通信を行うマルチユーザMIMOシステムは,動的フェージング環境の場合,ユーザ間干渉とストリーム間干渉が残留し,特性の劣化が生ずる.本発表では,下り回線信号送信時刻のチャネルを予測することにより,特性改善が可能となることをチャネルの測定結果を基に明らかにする.

 

(3)本研究発表の詳細

送受信機双方に複数のアンテナを設置するMIMO (Multiple-Input Multiple-Output) システムは,チャネル利用効率を向上させることが可能である.図に示したように基地局が複数のユーザ端末と同時に通信を行うマルチユーザMIMOシステムも鋭意検討されている.しかし,下り回線マルチユーザMIMOシステムにおいては,ユーザ間干渉とストリーム間干渉が重大な特性劣化を引き起こすことになる.これらの干渉を除き,伝送速度を向上するため,ブロック対角化法と固有ベクトルビーム空間分割多重伝送が用いられる.これを実現するためには,基地局において下り回線チャネル情報が必要となる.実際の下り回線信号送信時刻はチャネル推定時刻よりも遅れているため,動的フェージング環境では,その間の遅延によりチャネルの変動がおきることになる.その結果,ユーザ間干渉とストリーム間干渉が残留し,特性の劣化が生ずる.本発表では,推定されたチャネルを用いて,実際の下り回線信号送信時刻のチャネルを予測することにより,下り回線マルチユーザMIMOシステムの特性改善が可能となることを,チャネルの測定結果を基に明らかにする.

 

(4)本発表の注目点

通信に信号処理技術は広く使われているが,これまでは主に,時間領域と周波数領域に関するものであった.本研究者が検討している,複数のアンテナによる空間領域信号処理はチャネルの利用効率を著しく改善する.

2012年10月2日

【研究紹介】光による体内構造および機能の透視イメージング

研究紹介 — 9:43 AM

大学院情報科学研究科 生命人間情報科学専攻・教授 清水  孝一

 

(1)研究者のアピールポイント

光は体を透過せず、数mm厚み以上の透視は無理と考えられている。本研究は、強散乱体内部の透視実現をめざすとともに、既存透視技術とは異なる生体機能の分布を得て医療・医学への応用をめざすものである。

 

(2)本発表研究の概要

空間光差分および時間分解計測によって、生体透過近軸散乱光が検出可能なレベル実在することを示してきた。これを利用して生体内の強い光散乱効果を抑制することにより、体内吸光構造の透視や断層イメージングを可能としてきた。また、スペクトル解析や蛍光を利用することにより、生体機能の無侵襲イメージングを実現してきた。

 

(3)本研究発表の詳細

生体の裏側より光を照射し、表側から観察する。近赤外光のように生体組織における吸収が比較的小さい光の場合には、観測側に透過光が得られる。この光は、生体組織における強い光散乱により、拡散されて透過して来る。これにより、ラット脳機能を無侵襲的にとらえることができる。たとえば、脳内血流変化、脳内酸素化状態変化のイメージングが可能となる。体性感覚刺激に伴うラット大脳の局所的血液量変化をFig.1に示す。

生体に光を入射すると、生体組織の強い光散乱性のため入射光は体内に拡散し、その一部が後方散乱光として入射側に戻って来る。この戻る光が後方からの照明光となり、体表付近の吸光物体が、皮膚を介してイメージングされる。ただし通常の光入射法では、体表面における散乱性反射光の強度が強く、内部からの光を観測することは難しい。この問題を解決するため、蛍光物質を利用する。Fig.2にPSFデコンボルーション法により改善したラット頭部の経皮蛍光像を示す。脳表を走行する主要血管を中心に蛍光分布が観察される。また画像改善により矢状静脈や横行静脈をはじめ、脳血管が明瞭になることがわかる。

 

 

 

 

 

 

 

 

(4)本発表の注目点

従来不可能と考えられてきた光による強散乱体の透視が実現できると、どのようなことが新たに可能となるか。医学・医療のみならず、種々の分野で新たな応用が考えられる。

2012年9月12日

【研究紹介】ラフな計算とその応用 ~粒状性の可能性~

研究紹介 — 10:11 AM

大学院情報科学研究科 コンピュータサイエンス専攻・准教授 村井 哲也

 

(1)研究者のアピールポイント

数学の基礎理論,特に,論理,束論,位相などを踏まえながら,情報の粒状性(ラフ集合)や感性工学(画像,音楽,怪しい論理など)への応用を企んでいること.応用でも,集合論の重要さを理解できてない人が多すぎることが残念に思っている研究者.

(2)本発表研究の概要

ラフ集合の理論を使った粒状性の定式化とその応用の可能性について説明する.特に重要なのは粒度をコンテクストにあわせていかに調整するかであり,その問題はまだ十分研究されているとはいいがたい.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(3)本研究発表の詳細

ラフ集合の本質は「近似」である.まず,人間にとって,近似はどういう存在なのか?その一つの答として,近似とは,人間の認知・認識能力において不可欠な要素の一つである,という考え方がある.その理由として,人間は (1) 所有するデータの総体 (2) データから情報を引き出す計算力,の少なくとも二点において,有限な存在だからである,という論がある.その有限性ゆえ,人間は原理的に,対象を近似的にしか理解できない,と考えられるからだ.諸々の事象に対して完全な理解が可能なのは,おそらく「神」と呼ばれる存在のみであろう.

ラフ集合論の基本的考え方,それは既知の有限なデータを使って,未知の対象たちを記述し,理解するための数学的枠組を与える,というものだ.ラフ集合論では,まず,既知のデータの下で,同じ性質を持つ対象をグループ化して,ブロック(クラスタ)を構成する.一般に,ブロックは複数個,生成される.これらのブロックを使って,未知の集合にできるだけ近いものを組み立てること,そこにラフ集合の本質がある.しかし,人間にとって,知識が多すぎても,却って対象の本質を理解できない.また,むしろ,逆に,利用する知識を巧妙に限定することで,より効率的な情報処理を実現する,などと,弱点をプラスにしてしまう裏ワザさえ,人間は使っているふしがある.つまり,情報処理における適切な知識ないしデータの量があって,その結果,処理を効率よく遂行するために適当な近似の程度が度合いが存在するのであって,重要な問題は,それを調節するメカニズムの解明である.

(4)本発表の注目点

従来の科学や計算は基本的に,精密さ志向に見える. それに対して,ラフな計算は逆方向の計算もあり? と考えている.粗さを上手に調整すれば,”いい加減”ではなくて,”良い加減”になる,などと期待することになる.例えば,人間観でも,人に概略を伝えればOKの場面では,ラフに報告したら良い感じだが,事細かくクドクド言ったら,以前流行った 「KY」 である.情報化社会はめまぐるしく進展しながら,「計算」にも ”空気読め” と言い出した?そう感じている.

 

 

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北海道大学 工学系連携推進部 renkei@eng.hokudai.ac.jp