研究テーマ概要

陽子線治療システムに関する研究 [ 医工連携研究 ]
~量子ビーム(粒子線)を用いたがん治療に関する研究~

陽子線治療とは、がん治療法の一つである放射線治療の中で期待されている新しい治療法です。がん病巣の位置に合せて陽子線を照射することで、正常組織への影響を抑えてがん病巣のみを集中的に破壊することができるため、外科療法、化学療法と比較して、身体への負担が少ないのが特長であり、高齢の患者さんにもやさしく、また治療後の円滑な社会復帰も期待されています。
陽子線は、体内に進入した後の経路の線量は比較的小さく、止まる寸前に線量が最大になるという性質を持っているため(いわゆるブラッグピーク)、線量を腫瘍に集中しやすく、周囲の正常細胞への影響を押さえることが可能です。この結果、身体の機能や形態を損なわずにがん細部を壊死させる、あるいは増殖能力を失わせることができます。この治療を実現するために、陽子を加速するための加速器、陽子線の輸送系、あらゆる角度からの陽子線の照射を可能にする回転ガントリー等、治療システムに必要な機器の研究開発を実施しています。また、より高度な治療を実現するために、線量分布を最適化する治療計画システムの研究開発も実施しています。
本テーマでは、北海道大学大学院医学研究科放射線医学分野、北海道大学病院と協力し、「最先端研究開発支援プログラム(2009-2013年度)」という超大型の国家プロジェクトで世界初の動体追跡照射技術(注1)を備えた陽子線治療システムの開発に携わってきました。㈱日立製作所との産学連携でシステム開発を推進し、2014年3月に治療を開始しました。

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(注1)動体追跡照射技術:X線透視装置を用いて呼吸等で移動するがん病巣位置をリアルタイムで計測し、計画位置に来たときだけに放射線を照射する技術(北海道大学大学院医学研究科で開発)
  • 陽子線加速器(シンクロトロン)
  • 治療室(2014年3月撮影)web用
  • X線画像と陽子線画像の比較

核医学診断システムに関する研究 [ 医工連携研究 ]
~放射線を用いた機能診断(分子イメージング)に関する研究~

分子イメージングは、生体内での分子レベルのプロセスを可視化する基礎的、臨床的研究であり、新しい可視化技術によって生命現象を明らかにしていこうとする研究です。私たちはガンマカメラからPET、SPECTという核医学診断機器の開発を通じて分子イメージングの研究を推進しています。
本テーマでは、北海道大学大学院医学研究科核医学分野、北海道大学病院と協力し、「未来創薬・医療イノベーション拠点形成(2006-2015年度)」という大型の国家プロジェクトの中で、世界初の半導体検出器を用いた核医学診断システムの開発に携わっています。半導体検出器やASICといった半導体技術を応用することで、より高精細で高い定量性を実現できます。これまでに、産学連携で開発した頭部用半導体SPECT、PET装置を北海道大学病院に導入して臨床を目指した研究を実施し、脳及び頭頚部の病変をコントラスト良く描出可能であること、また病変内部の不均一性を高い空間分解能で可視化可能であること等を示しました。このような研究を通じて分子イメージングによる診断・治療の最適化を目指します。

  • 頭部用半導体PET装置(北大病院設置)
  • 半導体検出器

環境放射線利用と評価
~地球環境の解明や改善のための研究~

環境中に存在する種々の放射性核種(環境放射性核種)を自然の放射性トレーサーとして利用し追跡することにより、現在の状況や将来予測を行うことを目的としています。放射性核種は、地球が誕生した今から46億年前にはすでに存在していたという事実、その量(バックグラウンド放射能)は地域により大きく異なるという事実を認識することは、異常時における迅速かつ的確な判断に必要不可欠な情報源になります。このような情報を蓄積するとともに、工学的発想を持って新たなモニタリング手法の開発もめざします。

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  • 環境放射線の測定
  • 環境放射線の測定装置

次世代半導体加工
~量子ビームを高度に利用するための研究~

半導体LSI(大規模集積回路)の製造工程では、レーザー光やX線・電子線などの量子ビームを照射し、レジストと呼ばれる感光性材料に照射することにより、化学変化を起こし微細なパターンを作製するリソグラフィという技術が使われています。次世代の照射(露光)源として考えられている極端紫外光(13.5 nm)や電子線で使用されるレジストの高度化に向けた研究を行っています。

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  • 次世代半導体の加工(1)
  • 次世代半導体の加工(2)

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