研究内容

有機合成化学は、「あらゆる有機化合物を自在に合成する反応」の開発を目指す研究分野です。そのターゲットとなる化合物は多岐に渡りますが、わたしたち有機合成化学研究室では、人々の健康で豊かな暮らしに欠かせない医薬や機能性材料などを効率的、安価、そしてクリーンに供給する方法の創出を目的として日夜研究に励んでいます。まだまだ途中経過ですが、これまでの研究成果の一端をご紹介いたします。
まず、研究のキーワード(こだわり)は、
1)不斉合成、2)分子触媒、3)触媒活性、4)立体選択性、です。

不斉合成の概要

「物のかたち」には、右手と左手のように、左右が区別されるものがあります。同様に、10–10 mを単位とする分子にも右と左で区別できるものがたくさんあるのです。このような分子を「キラルな分子」とよびます。例えば、図1-1に示すように、黒丸の炭素が四つの原子または原子団(赤、青、黄、緑の丸で表現)と結合している分子を考えます。ここで、四つの丸がすべて異なる場合に、この分子はキラルになります(中心性キラリティーと分類されます)。すなわち、左の分子が左手型なら、それを鏡に映した右の分子は右手型に区別されます。これらの分子は、炭素上に四色の丸を有していること自体は同じなのですが、位置関係が鏡に映したように逆転しているので、互いに重なり合うことはありません。

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ヒトの体は、この分子の左右を精密に区別することができます。例えば、アスパラギンというアミノ酸分子は右手型が甘く、左手型には苦みを感じます。では、医薬となる分子に左右があったらどうなるでしょう。市販の咳止め薬の成分にデキストロメトルファンという右手型分子がありますが、その左手型レボメトルファンは依存性の強い麻薬です。このように、医薬分子の右型と左型はまったく異なる機能を示すことがあるので、厳密に作り分ける必要があるのです。このように、分子の左右を選択的に作り分けることを「不斉合成」といいます[A1]。

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ケトン類の不斉水素化反応イミン類の不斉水素化反応不斉異性化反応不斉シアノ化反応不斉カルバモイル化反応;速度論的工学分割Pdナノ粒子触媒反応光環化反応引用文献一覧