発光性メカノクロミズム

ある物質に作用した「引っ張る」「圧力をかける」というような機械的刺激をその物質が記録し、それを発光性の変化として取り出せたらどのようなことに役立つでしょうか?私たちは最近、「発光性メカノクロミズム」と呼ばれる特性を持った化合物を発見しました。この化合物は下図に示される構造をもつ新規な金錯体で、空気中で安定な白色の固体です。この錯体は紫外線照射下では比較的弱い青色の発光(λemmax = 415 nm) を示しますが、この錯体に「こする」などの機械的刺激を与えると、こすった部分のみ鮮やかな黄色発光(λemmax = 533 nm)を示します(下図)。また、この化合物にジクロロメタンなどの有機溶媒を加えるもとの青色発光に戻すことができます。


図.発光性メカノクロミズム特性をもつ新規金錯体

私たちは、この発見をもとに、「新しい発光性メカノクロミックプローブ分子の開発」「発光性メカノクロミックチップの作成」をおこない、これらを通じてマクロな力が分子に伝わる機構の解明とマクロからミクロ領域の微少な力を高感度で記録する方法の開発を目指しています。


図.メカノクロミズムの様子と発光スペクトルの変化


図.青色発光を示す結晶のエックス線構造解析


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図.発光性メカノクロミズム

文献

  • Reversible Mechanochromic Luminescence of [(C6F5Au)2(μ-1,4-diisocyanobenzene)]
    Ito, H.; Saito, T.; Oshima, N.; Kitamura, N.; Ishizaka, S.; Hinatsu, Y.; Wakeshima, M.; Kato, M.; Tsuge, K.; Sawamura, M.€
    J. Am. Chem. Soc.2008,130, 10044.
    DOI:

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