関 朋宏

←クリックで拡大

略歴

略歴
2006年 千葉大学工学部物質工学科 卒業
2009年 同大学大学院自然科学研究科博士前期課程 修了
2012年 同大学大学院工学研究科博士後期課程 修了
2009-2011年

日本学術振興会特別研究員(DC1)

2012年 北海道大学工学研究院フロンティア化学研究教育センター 特任助教
2015年 北海道大学工学研究院応用化学部門 助教
受賞

2016年

2015年2008年

第 96 春季年会 若い世代の特別講演会
日本化学会北海道支部 第14回支部奨励賞
第 95 春季年会 優秀講演賞(学術)
光化学討論会・最優秀学生発表賞

研究概要

結晶多形とは、単一の化合物が複数の結晶構造を形成する現象で、多形ごとに融点・溶解度、生理活性など様々な化学的・物理的性質が異なることが知られています。私たちは、金(I)イソシアニド錯体の結晶が複数の結晶多形を取りやすく、それぞれの多形におけるフォトルミネッセンスが大きく異なることを見出し、それらのユニークな性質を調べ、新しい機能材料の創成にチャレンジしています。
下記の錯体1は、機械的刺激による結晶構造の変化が、単結晶-単結晶相転移様式で進行するという興味深い性質を示します。錯体1の結晶(多形I)の一部分にピンセットで傷をつけるとまず傷をつけた部分の発光色が変化します。興味深いことに、室温でこの結晶を放置すると、それ以上の機械的刺激を与えなくても、時間経過とともに発光の変化した部位が徐々に広がります。最終的に結晶全体の発光色が青に変化し、結晶全体が別の結晶多形IIに変化します。また、刺激を印加する前後の結晶(多形IとII)の単結晶エックス線構造解析を行い、結晶内での詳細な分子配列を明らかにすることができました。その結果、発光の変化の要因として金原子間の相互作用が鍵となっていることを明らかにしました(下図, T. Seki, K. Sakurada, H. Ito; Angew. Chem. Int. Ed. 2013, 52, 12828-€12832)。

上記のような、機械的刺激による発光色のスイッチングのみならず、再結晶と再沈殿を使い分けるだけで多形分子の発光色を制御することにも成功しました。金(I)イソシアニド錯体2は単一の再結晶操作により3種の結晶多形I、II、IIIを生じ、それぞれ青、緑、橙色の発光を示します。単結晶X線構造解析により発光色の異なる多形の詳細な結晶構造を明らかにし、構造と発光色の関係を明らかにしました。さらに、2を再沈殿により粉末化すると、その発光色が均一な白色となることを、見つけました。粉末X線回折測定より、再沈殿粉末の内部には2の複数の結晶多形が共存し、2の結晶多形の示す複数の発光の混合色であることを明らかにしました(T. Seki, S. Kurenuma, H. Ito; Chem. Eur. J. 2013, 19, 16214-16220)。単一化合物から白色発光を得るために結晶多形を利用した例は過去に報告されておらず、発光材料の新しい設計コンセプトになることが期待されます。

 

千葉大学 博士課程での研究 (千葉大学 共生応用化学研究室 矢貝史樹 准教授):

ペリレビスイミド(PBI)は、優れた光学特性やn型半導体特性、高い光や熱、化学的安定性を示すため注目を集めている色素の一つです。このような優れた物理的・化学的性質は、PBIの強いπ-π相互作用による部分が多いが、一方では自己凝集性をも高めてしまいナノ構造や材料形態の制御が困難となってしまいます。私は、結合方向が明確で選択性が極めて高い相補的多重水素結合を利用しPBIを集合させることにより、その超分子集合構造や材料形態の制御に取り組みました。その結果、PBI色素の超分子キラリティ、液晶特性、刺激応答特性、新規な光学・電子特性の発現に成功しました。


 

文献

  • T. Seki, A. Asano, S. Seki, Y. Kikkawa, H. Murayama, T. Karatsu, A. Kitamura, S. Yagai Chem. Eur. J. 2011, 17, 3598-€3608 (Selected as “Frontispiece”). DOI: 10.1002/chem.201003540
  • T. Seki, X. Lin, S. Yagai Asi. J. Org. Chem. 2013, 2, 708-€724. DOI: 10.1002/ajoc.201300025
  • H. Ito, M. Muromoto, S. Kurenuma, S. Ishizaka, N. Kitamura, H. Sato, T. Seki Nat. Commun. 2013, 4, 2009. DOI: 10.1038/ncomms3009
  • T. Seki, S. Kurenuma, H. Ito Chem. Eur. J. 2013, 19, 16214-€16220 (Selected as “Frontispiece”). DOI: 10.1002/chem.201303394
  • T. Seki, K. Sakurada, H. Ito Angew. Chem. Int. Ed. 2013, 52, 12828-€12832 (Selected as “Frontispiece” and “Very Important Paper”). DOI: 10.1002/anie.201307672

新聞報道、プレスリリース

  • 「結晶中の分子の《ドミノ倒し》を世界で初めて観測 医薬品や有機半導体の劣化メカニズムの解明に前進」 北海道大学プレスリリース 2013年6月14日
  • 「針でつつくと結晶構造変化」 日経産業新聞 2013年7月19日

業績

論文リストはこちら