研究内容

ナノ・マイクロ材料を用いた
複合材料に関する研究
強度特性に優れたナノレベルの材料であり、エネルギー、家電、エレクトロニクス、化学、複合材料への応用が期待され、その市場規模は2020年には数千億円になると予想されています。CNTの用途の一つとして、マイクロレベルからサブマイクロレベルでの複合材料への応用があります。これにより、CNTの優れた比強度、熱伝導性を生かした複合材料を開発することが期待されています。しかしながら、CNTのナノレベルの優れた特性をマクロレベルで発揮させるためには、母材内の分散状態を制御する必要があります。本研究室ではCNTを金属母材に含有させた複合材料にさまざまな変形を与えることにより、母材に生じる転位などの微視的変化を利用しCNTを集積化させて、CNTのナノレベルの特性を最大限に生かせるマクロ構造を構築する方法について検討しています。また、CNT複合材料の変形や熱的特性を効率的に計算するために、従来分子動力学により行われているCNTの構造解析を、連続体的に取り扱うマルチスケール解析の手法についても検討しています。
マイクロステントの開発 人口構成の高年齢化により、高脂血症などによる血管狭窄,癌などによる気管や尿道の狭窄が増えています。その治療には生体内ストレッチャの一つであるステントが用いられます。ステントは主に金属を材料とする網目構造を持ち、狭窄部に挿入された後に拡張し狭窄部を取り除きます。既製ステントは規格化され狭窄状態の個人差を考慮することができませんでした。しかし複雑な部位へは狭窄形状を考慮したテーラーメイド設計が必要です。このためには、ステントの構造と変形との関係を明確にし、ステントの変形をその構造から制御する手法が必要です。本研究室では,バルーン拡張型ステントを任意に変形させる手法を開発するため、有限要素解析によりステントの特性を明らかにし,より優れたステントの開発を研究しています。
電子実装基板の変形解析 物性の異なる樹脂、銅、シリコン、はんだ等から構成されている電子実装基板では、従来から線膨張係数の違いに起因して生じるパッケージ内部のひずみや応力および基板のたわみが大きな問題です。CSP(Chip Size Packaging)、SiP(System in Packaging)や、SiPをさらに組み合わせた多層パッケージPoP(Package on Package)などに代表される電子実装基板の小型化・複雑化により、さらにその深刻度が増すと想定されています。このため多層電子実装基板の安全性や信頼性評価のための新しい技術開発が必要不可欠であり、この技術開発の成否が、わが国の電子実装産業が国際的に優位な立場を継続できるか否かにかかっていると言っても過言ではありません。そこで本研究では、小型化・複雑化されたパッケージの安全性・信頼性を保つ設計のために、それぞれの構成材料のマイクロレベルでの組織状態および強度評価とサブマイクロサイズでの強度評価、および、パッケージ全体を一つの複合材料と捉えた等価複合モデルによるマクロサイズでの強度評価を融合したマルチレベルデザインによる最適構造解析手法の構築を目指しています.
スマート流体に関する研究 界面活性剤を入れた水の乱流抵抗が著しく低減する機構(トムズ効果)を理論的に調べ、最適な抵抗低減手法を開発しています。乱流現象の制御、特に壁面摩擦抵抗の低減は、工学上重要な課題の1つです。その中でも、水に微量の長鎖状高分子あるいは棒状ミセルを形成する界面活性剤を添加すると、乱流域での抵抗が著しく低減することはToms効果として古くから知られています。近年では、ポンプなどの機器を通過中に破断されても再生可能な界面活性剤ミセルの特性を利用して熱供給システムの動力を低減させる等の実用化に向けた研究がなされています。しかしながら、抵抗低減のメカニズムについては未だ不明で、現象を定量的に予想しえる理論やモデルも存在しません。本研究では、独自のモデルを考案し、それを用いた乱流の直接数値計算(DNS)によって、抵抗低減現象が再現されることを示し、抵抗低減の定量予測が可能なモデルの構築を目指すと同時に、計算結果を用いて抵抗低減のメカニズムに関する考察を行っています。また、それらの知見を基に新たな抵抗低減手法を見出すことを目的としています。
液滴の衝突現象の解析 液滴の衝突は,内燃機関やボイラ中の燃料噴霧、インクジェットプリンタ、液滴ラジエータなどさまざまなスプレー過程や雨滴形成などの研究や機器開発において大変興味深い現象です。一方、衝突後の液滴の結合や分離あるいは変形のメカニズムを知ることは、実験ではきわめて困難です。当研究室では気液2相流の数値計算プログラムを作成し、液滴同士の衝突や液滴と固体壁の衝突現象の解析を行っています。現時点ではこれらの定性的挙動の再現は行うことはできており、その定量的精度の検証を行っているところです。なお、本プログラムは液滴に限らず種々の気液2相流の計算を行うことができ,将来的には解析の対象を広げる予定です。
OA治療を目的とした
膝関節安定性に関する研究
膝は体内で最も負荷がかかり,損傷しやすい関節である。スポーツや怪我による力学的な異常は変形性関節症(OA)等の慢性疾患につながる可能性が高い。そのため、新たな治療法の開発は、生体工学および整形外科の分野で大きな課題となっている。定量的に膝関節の力学特性を測定することは、関節内の各組織の役割を知る上で極めて重要な項目である。したがって,本プロジェクトの目的は、膝関節の力学的特性を定量的に評価するための新技術を開発することである。
モバイルデバイス
熱制御システムの開発
近年、スマートフォンやタブレット端末等のように高機能化、高性能化された電子機器が普及している。高機能・高性能化に加えて小型化が進んでおり、発熱密度の増加だけでなく、放熱に必要な表面積の減少をもたらしている。これにより、局所的な温度上昇が起こったり、低温火傷を引き起こしたりする可能性が高まってしまう。この問題を解決するため、本プロジェクトではモバイルデバイスを対象とした新たな熱制御システムの開発を行っている。
太陽電池セルの信頼性評価 東日本大震災に伴う原子力発電所に対する安全性への不安から、その代替エネルギーソースとして、自然エネルギーである太陽光発電システムに対する期待がこれまでになく高まっている。特に太陽電池に対してはその敷設の容易さも相まって需要が急激に伸びている。太陽電池のエネルギー回収率発電コストを考慮すると、30年強の寿命が必要であり、そのため、長期寿命を実現するには、太陽電池の熱変形、使用環境負荷、風圧、熱変形、積雪負荷に対する各部の強度評価を精度よく行い、設計製造する必要がある。このため、ここでは、太陽電池パネルに封しされている発電デバイスである、結晶シリコン太陽電池セルの曲げ破壊じん性や、セルを接合する銅配線、はんだの熱疲労評価について検討する。
ミニチュア試験片による
強度試験法の考案
マルチスケール解析などを実際の機器設計に応用するために,材料の結晶レベルの構造変化がマクロレベルの変形特性に与える影響を解明することが望まれています.そこで,数ミリ程度の試験片による微小材料試験法を開発し,負荷様式,負荷履歴による材料の微視構造変化と巨視的変形特性の関連性を明確にすることを目指しています.
原子力機器・配管の尤度設計に
関する研究
原子力施設の安全性確保の完璧性は他の機器に比較にならないほど求められています.このことから,経年変化による原子力機器の劣化はもとより,特に日本では地震による原子力機器へのダメージの評価を適切に行う技術の確立が望まれています.本研究では,地震動による原子力施設の建屋への影響から,建屋内の機器への影響を総合的に評価する手法の確立のために,地震動による配管系の変形特性評価について検討しています.
結晶塑性理論とその応用に
関する研究
電子デバイスの超集積化による構成要素の微小化やマイクロステントなど、機器のサイズがますます小さくなってきている。これに伴い、構成部材内部の結晶単位の変形と構成部材全体の変形の相互関係が重要視されてきている。このことから、ここでは,結晶一つ一つの力学特性を結晶塑性解析により明らかにし,結晶の変形特性を考慮した構造解析を行うための手法について具体的対象を想定して行っている.