Research

(1) 最適化技術の開発:遺伝的アルゴリズム,実験計画法,多目的最適化など最適化技術開発と最適化プログラム開発

最適化や最適設計は,あらゆる工学分野と産業に深く関わる大変重要な技術です.モノを大事に使う「エコ社会」の到来とともに人間生活の根源に関わる考え方です.本研究室では,主に機械製品や複合材料構造物などへの適用を研究するとともに,遺伝的アルゴリズムや積層材料への層別最適化法など,技法の開発も行っています.下は,複数の目的を同時に満たす多目的最適化,また複数の設計変数を同時に最適化する統合最適化結果の一例です.また,PSO,ACOなど生物界からヒントを得たメタヒューリスティックな新手法の応用やタグチメソッドによる実用的手法を研究しています.

(2) 複合材料構造の強度,振動,座屈などの力学解析: 解析モデルの開発と最適化手法の適用例

炭素繊維強化複合材料(CFRP)は,高い比剛性と比強度の特徴を活用して宇宙航空分野で多用されていますが,近年ではコスト低減が進み,自動車産業へも広く利用が拡大しています.しかし異方性材料を積層するため力学解析が難しく,また構造最適化に適した材料と言われ研究が活発になされながらも,その方法は実用段階より研究レベルに留まるものが多い現状です.
本研究室では,例えば材料異方性,材料特性の2値性(引張と圧縮で異なる弾性定数)などを考慮した,様々な解析ソフトおよびモデルを開発し,図6,7のような具体的な応用例に対して,解析および最適化計算を行っています.

また,自然界の材料に着想して,局所的な異方性(図8)や,曲線状の強化繊維を持つ複合材料(図9, 10)を提案し,その解析手法や最適化手法を開発しています.曲線状の繊維は,従来の直線状の強化繊維を持つ材料よりも,振動数や面内強度の面で優れた機械的性質を示すことが明らかになってきており,機械構造物の高性能化に貢献できます.

(3) カスタムメードステントの最適形状設計

人口構成の高年齢化により,高脂血症などによる血管狭窄,癌などによる気管や尿道の狭窄が増えています.その治療には生体内ストレッチャの一つであるステントが用いられます.ステントは主に金属を材料とする網目構造を持ち,狭窄部に挿入された後に拡張し狭窄部を取り除きます.既製ステントは規格化され狭窄状態の個人差を考慮することができませんでした.しかし複雑な部位へは狭窄形状を考慮したテーラーメイド設計が必要です.このためには,ステントの構造と変形との関係を明確にし,ステントの変形をその構造から制御する手法が必要です.本研究室では,バルーン拡張型ステントおよび自己拡張ステントを任意に変形させる手法を開発するため,有限要素解析やトポロジー最適化手法を駆使し,より優れたステントを設計し、3Dプリンターによる製作まで行うためのシステムの構築を行っています。

(4) 粘塑性構成モデルによる電子実装基板の接続部の強度解析

本研究では,小型化・複雑化されたパッケージの安全性・信頼性を保つ設計のために,それぞれの構成材料のマイクロレベルでの組織状態および強度評価とサブマイクロサイズでの強度評価,および,パッケージ全体を一つの複合材料と捉えた等価複合モデルによるマクロサイズでの強度評価を融合したマルチレベルデザインによる最適構造解析手法の構築を目指しています.また,このためには,はんだ接続部の正確な変形特性を解析する必要があります.このために,マイクロインデンテーションによる粘塑性変形の解明を行い,さらに,弾塑性クリープ分離型モデルや転位密度型構成モデルを用いてそれらの変形特性を記述することを試みています.構成モデルで使用される材料パラメータを粒子群最適化や遺伝的アルゴリズムを用いて効率的に定める手法についても検討しています.

(5) 大動脈および冠動脈の血流解析

社会の高齢化により血管疾患,特に大動脈瘤や動脈硬化などを患う高齢者が増えてきている.これらの疾患は自覚症状が出て素早く処置することが重要となる.そこで本研究では.大動脈瘤および動脈硬化のCT画像から血管のモデル化,血流解析,解析結果による診断までを素早くスムーズに行うためのシステムの構築を行っている.解析にはオープンソースソフトウェア―(OpenFoam,Elmer等)を主に使用することによる経費の削減も視野に入っている.特に,流体と血管構造変化の流体ー構造連成解析(FSI解析)を行うことにより,より高精度の診断に役立てることを目指している.

(6)機械学習を用いた塑性加工不具合同定システムの開発

鍛造は短時間に多くの製品を作製可能であることから産業界で広く行われている.しかし,型の不具合などから不良品が発生すると大損害になる可能性がある.このため,不良品発生を作業中に予め予測できれば不良品の発生を最小限に抑えることが可能となる.そこで本研究では,機械学習を用いた鍛造時の不良品予測システムの構築を行う.また,同時にバリの発生予測も行い,バリ発生と不良品との相互関係についても検討する.

(7) 臨床応用を目的とした膝関節安定性に関する研究

膝は体内で最も負荷がかかり,損傷しやすい関節である.スポーツや怪我による力学的な異常は変形性関節症(OA)等の慢性疾患につながる可能性が高い.そのため,新たな治療法の開発は,生体工学および整形外科の分野で大きな課題となっている.定量的に膝関節の力学特性を測定することは,関節内の各組織の役割を知る上で極めて重要な項目である.したがって,本プロジェクトの目的は,膝関節の力学的特性を定量的に評価するための新技術を開発することである.

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