研究内容/Research

研究内容
○研究分野/Reseach Area

●セメントの水和反応メカニズムの解明/ Mechanism of cement hydration
●多孔体中の物質移動予測モデルの構築/ Modeling of transport properties of porous materials
●セメント硬化体の3次元イメージによる物性予測モデルの構築/ Modeling of 3D spatial image in cement based materials
●濃厚系凝集サスペンジョンの流動性予測モデル/Rheology model for concentrated flocculated suspension
●サーモポロメトリーによる細孔構造の測定/ Development of Thermoporometry method
●副産物であるフライアッシュ・スラグの有効利用/ Usage of fly ash anf slag as byproducts
●分散剤によるサスペンジョンの流動性改善機構の解明/Mechanisms of dispersing effect of grafted co-polymer
●収縮低減材による収縮低減効果の検証/ Development of new Shrinkage reducing agent of concrete
●凍害劣化、アルカリ骨材反応、乾燥収縮機構の解明と予測モデルの構築/ Construction of Elucidation and prediction model of the frost damage degradation , alkali-aggregate reaction , and drying shrinkage mechanism

 

 

●セメントの水和反応メカニズムの解明/ Mechanism of cement hydration

地球規模での環境負荷低減が国際的に求められる中で、コンクリート構造物の長寿命化は重要な社会的要請となっており、精度の高いコンクリートの寿命予測の確立が重要であるといえます。堅牢な骨材を使用した場合には、コンクリートの物性に最も大きな影響を与える要因としてセメントペーストの物性が挙げられます。さらに詳細に見ると長期材齢のセメントペースト硬化体の約60%はカルシウムシリケートハイドレート(以降C-S-H)で占められており、コンクリートの物性評価を行う上でC-S-Hの長期物性を予測することは非常に肝要であります。そこで本研究では、各種の解析手法を併用しC-S-Hの構造解析を行い、最終的にはコンクリートの物性を評価することを目的としています。

●多孔体中の物質移動予測モデルの構築/ Modeling of transport properties of porous materials

コンクリートは多孔質材料であり、空隙中の水分を媒体として各種イオンが細孔中を拡散します。鉄筋コンクリートの場合、細孔溶液中を拡散した塩化物イオンが鉄筋を腐食させ、構造物の破壊を引き起こします。そこで、コンクリート構造物中の塩化物イオン拡散の適切なモデル化は、塩化物イオン浸透の正確な予測を可能とし、構造物の耐久性設計に反映できます。
本研究では、セメント表面の電荷に着目し、表面基における表面錯体形成反応および表面電荷をPHREEQC(熱力学的平衡論に基づく地球科学コード)を用いて計算し、塩分の吸着や拡散の予測モデルの構築を目指しています。

●セメント硬化体の3次元イメージによる物性予測モデルの構築/ Modeling of 3D spatial image in cement based materials

放射性廃棄物処分施設のような地下水に接触するような地下構造物においてセメント硬化体が用いられる計画があります。そのため長期使用時のセメント硬化体の精確な耐久性の評価が求められており、微細構造に基づいた物性予測モデルが必要とされています。
そこで本研究では、反射電子像より得られる各相の空間構造や配置等の情報を基に3次元イメージの構築を行い、その3次元イメージより強度や拡散係数などの物性の予測モデルの構築を行うことを目的として研究を行っております。

●濃厚系凝集サスペンジョンの流動性予測モデル/Rheology model for concentrated flocculated suspension

コンクリートは移送・成型の都合から、その流動性をコントロールすることが求められます。コンクリートの粘性は骨材間に存在するセメントペーストの粘性に大きく依存し、セメントペーストの粘性はセメント粒子の体積濃度、さらに粒子同士の凝集に大きく影響されます。そのような濃厚系のサスペンジョンでは粒子数が非常に多いため、ナノスケールでの粒子間力・流体力が複雑に作用し、凝集構造を形成・破壊するため、その結果として発現する粘性の予測を困難にしています。本研究では、流れ場中において、粒子が凝集して形成する凝集構造の変化および粘性発現をモデル化することを目的とし、研究しています。

●サーモポロメトリーによる細孔構造の測定/ Development of Thermoporometry method

現在、セメント系材料は構造部材を中心とした様々な用途に用いられている。近年では、セメント系材料が地下核廃棄物の最終バリアとして用いられる計画があり、構造部材として十分な強度や放射性物質の遮断性を有する性能が求められている。これらの性能はその物質が持つ空隙構造と密接に関係するため、セメント系材料の空隙構造の評価は非常に重要であると言える。空隙構造の測定法としては、窒素吸着・脱着法や水銀圧入法が広く用いられているが,前者では20nm以上のメゾポアやマクロポアの測定ができず,後者では水銀を圧入する際の圧入圧により組織が破壊されることが問題視されている。また、これらの方法は,測定試料を乾燥することにより、セメント硬化体中の細孔空隙組織が変化してしまうことが欠点とされている。
本研究では示差走査熱量計(differential scanning calorimeter; 以下DSC)を用い多孔質体における空隙構造の測定を行う手法に着目した。この手法は、液体で満たされた多孔質体の細孔径分布を決定する手法であり、従来の測定法の問題点である空隙構造に歪みをもたらす乾燥工程を必要としないという利点を有する。そこで、本研究ではDSCを利用したセメント硬化体中の空隙構造の定量法および測定方法の確立を目的として研究を行っている。

●副産物であるフライアッシュ・スラグの有効利用/ Usage of fly ash anf slag as byproducts

火力発電所で石炭を燃焼させると副産物として石炭灰が発生します。日本では毎年1000万トン以上の石炭灰が発生しており、その量は今後も増加傾向にあると言われています。循環型社会の形成が望まれる現在、産業廃棄物として発生するこの石炭灰を適切に処理しなければなりません。
石炭灰はフライアッシュとクリンカアッシュの2種類に分けられ、そのうちフライアッシュが約80%と大部分を占めています。そのため、石炭灰の有効利用とは言い換えればフライアッシュの有効利用と言えます。
フライアッシュの有効利用法の一つにコンクリートへの利用があります。コンクリートはセメント、砂、砂利、水を混ぜて作られており、フライアッシュはそのうちのセメントの一部と置換して使うことができます。このようにフライアッシュを使用することでコンクリートの流動性が良くなり施工がしやすくなったり、長期強度が増進したりと、性能の向上につながります。しかし、加えすぎるとコンクリートが固まらなくなってしまうため、たくさん置き換えれば良いというものではありません。そのため、フレッシュコンクリートにフライアッシュがどのくらい混ざっているのかをきちんと把握することが重要であると言えます。
本研究ではフライアッシュのコンクリートへの利用を促進するために、コンクリート中のフライアッシュ量の推定方法を構築することを目的としています。

●分散剤によるサスペンジョンの流動性改善機構の解明/Mechanisms of dispersing effect of grafted co-polymer

1930年代のAE剤,AE減水剤と1962年の高性能減水剤の発明から1980年代の高性能AE減水剤に至るまで,コンクリートには常に高強度,作業性,耐久性が求められ続けている。しかしながら,高強度を得るために高減水したコンクリートは,刻々とスランプが低下する。高強度コンクリートをレディミクストコンクリート工場から工事現場まで運搬する間,あるいは工事現場で打設するまでの待機時間に,高強度コンクリートはともすればポンプ車による圧送ができなくなるほどのスランプロスが起こる。それに加えて近年では,設計基準強度が150MPaを超える超高強度コンクリートへのニーズも高くなり,いっそうのスランプ保持が求められる。高性能AE減水剤にはこのような高減水とスランプロス防止という相反する性能を強いられ,激しい技術競争の渦中にある。
本研究室では,メトキシポリ(n)エチレングリコール(PGM-n)を側鎖にもつポリカルボン酸(PC-n)を主剤とする高性能AE減水剤の分散剤によるセメントサスペンションの流動性改善機構の解明を行うものある。図は分子動力学法によるポリマーのコンホメーションに関するシミュレーション結果を示したもので,主鎖と側鎖が緊密に絡んでいるコンホメーションを取っており,これらのポリマーのコンホメーションが吸着後の形態に及ぼす影響,および流動性改善との関係を検討中である。

●凍害劣化、アルカリ骨材反応、乾燥収縮機構の解明と予測モデルの構築/ Construction of Elucidation and prediction model of the frost damage degradation , alkali-aggregate reaction , and drying shrinkage mechanism

現在コンクリート構造物の劣化が問題視されています。劣化の原因として、凍害劣化、アルカリ骨材反応、乾燥収縮によるひび割れなどが挙げられます。コンクリート構造物のようなマクロな構造の物性はセメント硬化体内のミクロな部分から影響を受けているということが報告されています。セメントの水和反応で生成され、セメント硬化体内の微細構造を形成するカルシウムシリケートハイドレート(C-S-H)の物理的、化学的な特性と各種劣化原因を関連付け、機構の解明とそれに基づく予測モデルの構築を行っています。

 

○実験設備/Apparatuses

水蒸気吸着装置
イオンクロマトグラフ
蛍光X線分析装置
熱分析装置(TG・DTA)
低温熱分析装置(DSC)
走査型プローブ顕微鏡(SPM)
ガスクロマトグラフ
恒温恒湿槽
マッフル炉
X線回折装置(XRD)
データロガー
滴定装置
インピーダンスアナライザー
凍結乾燥装置
遊星ボールミル
カロリーメーター